無印良品とURの団地リノベーション(多摩ニュータウン永山)

2012年にスタートした「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」。
“団地の再生” という大きなテーマのもと、無印良品とUR賃貸住宅がコラボレーションして始動した このプロジェクトは、2017年までの5年間で32団地・500戸以上の住戸がリノベーションされ、URの人気住戸となっています。
多摩ニュータウンの永山団地でも2016年1期・2期と2回に分けて計10戸の入居募集が行われ、その際の応募倍率は5倍超で 即満室になるという人気ぶり!
先月(H30.1月) にも、2日間にわたってモデルルームが公開され、新たに3室が募集となりました。
今回は、そのモデルルームの様子と永山団地についてご紹介します。
目次
多摩ニュータウン・多摩市永山地区
東京の西側、 多摩ニュータウンは、稲城市・多摩市・八王子市・町田市にまたがる 多摩丘陵に位置します。
多摩ニュータウンの中心である多摩市の公園面積率は11.17%で 東京都で1位!
市内には大小さまざまな公園が点在し、緑が豊かで美しい街です。
そんな多摩市内にある永山地区は、小田急線・京王線 が利用できる「永山駅」から 徒歩15分。バスだと5分ほどの場所にあります。永山駅からはバス便も多く、散策が楽しめる遊歩道も整備されています。
多摩ニュータウンの開発と入居の先駆けとなったのは、永山駅を中心とした諏訪・永山地区となり、昭和46年の入居が始まってから45年以上が経過しました。
開発当時は 時代の最先端を行く住宅環境ながら、年月の経過とともに建物の老朽化や空室、入居者の高齢化が問題となり、報道でも多く取り上げらることで マイナスイメージが先行してしまっていることは否めません。
そんななか、UR都市機構や多摩市では、団地の再生・まちの活性化へむけてさまざまな取り組みを始めています。
永山団地では、空き住戸が出た際に
- 和室3室のうち1室を洋室化
- バリアフリー化など高齢者向けのリニューアル
- 若い世代をターゲットにした「MUJI×UR団地リノベーション」
と、3タイプのリフォームが行われていますが、中でも 「MUJI×UR団地リノベーション」が人気となっています。
MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
MUJI×UR団地リノベーションは、借り手の 好みやスタイルで、住まいを自由にアレンジできるのが特徴です。
無印良品HP: https://www.muji.net/ie/mujiur/plan/plan03.html
リノベーションとは、“既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えること” とあります。
一般的なリノベーションでは古いものが撤去されてしまいますが、MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトでは、古いもの全てを新しくするのではなく、古くても魅力的な部分をできるだけ残して、団地の暮らしの課題解決と団地の魅力を生かした設計が行われています。
古くても魅力的なものとして残されたものに、鴨居・敷居・柱・配線などがあります。
魅力的な部分は何か?という視点から始まるリノベーションは、古さが優しさとなっていく印象を強く受けました。
MUJI×UR(多摩ニュータウン永山)の モデルルーム
永山団地では、小さく仕切られた3Kから、2DKへの間取り変更になっています。
無印良品HP: https://www.muji.net/ie/mujiur/plan/plan03.html
玄関を入ってすぐ 3畳ほどの小さな和室が キッチンとなり、明るく開放的なダイニングキッチンになっています。
内覧会では、家具が設置してあるモデルルームと、設置されていない部屋を見せていただきました。
フローリングの色に少し違いがありますが、家具あり・家具なしのパターンでご紹介します。
他のお客様がいるなかで 邪魔にならないよう写真を撮ったというのおありますが、アングルなど反省点多いです。。m(__)m
キッチンの壁には備え付けの小天井があり、市販のシェルフを組み合わせることで、壁一面を収納として使用することができます。
このように、無印良品のシェルフや収納ケースなどを組み合わせ、シンプルで清潔感のあるキッチンに。
ガスコンロとシンクの下は 一般的なキャビネットではなく、オープンになっていています。
排水管などの配置も工夫されていて 収納も無駄なく自由にアレンジできますね。
換気扇も、ダクトもおしゃれ。
キッチンからリビングとなります。
奥のリビングは、家具があるとこんな感じになります。(快適すぎて人をダメにすると言われる 無印良品のビーズクッションもありました^^)
この鴨居は “昔ながらの団地の魅力”として、残されたものの一つ。
上はアクリルがはめ込まれてあります。 寝室のダンボールふすまを移動し設置することで、キッチンとリビングを間仕切りすることもできます。敷居には いい感じの使用感が残されていました。
無印良品とURが共同開発したという 麻畳。
優しい色合いと肌ざわりで直に座っても気持ちよく、和室としても洋室としても使い勝手が良さそうです。
こちらは、図面上の主寝室。 麻畳に、壁一面が「ダンボールふすま」を取り付けた押し入れ収納となっていて天袋もあり かなりの収納力。無印良品とURの共同開発「ダンボールふすま」は、驚きの軽さで 開け閉めはもちろん 移動もラクです。
ベッドを置くとこんな感にになります。
押し入れは 白くペイントされていて、襖を外してオープンに利用することも可能。
収納だけでなく、デスクやキャビネットとしても利用できます。
スイッチ配線も そのまま残されています。白い壁に映えて、お洒落な印象さえ受けます。
洗面所も シンプルで、キッチン同様に収納が自由に組み合わせできるようになっています。
懐かしさを感じるむき出しの配管は白くペイントされていました。
追い炊き機能もついているお風呂。 窓もついているので明るいです。
全体的に白を基調として、団地の良さでもある採光や風通しなどを より感じられる住戸となっていました。
お風呂やトイレにも窓があるというのは、マンションでもそう多くはないと思います。
間仕切りや収納の使い方でも自由度が高く、コンセプトにブレがありません。
古さと新しさが調和され、シンプルで温かみのある空間でした。
MUJI×UR(多摩ニュータウン永山)募集賃料等
今回の募集は3部屋(5階建て 4階と5階の部屋) 住居専有面積は54.04㎡です。
ちなみに、同団地の他のリニューアル住戸(間取り変更なし3DK)の家賃は 5Fで 68,900円、4Fでは 72,900円で募集されていました。(こちららは お得な家賃プランの利用が可能です)
気になる今回の応募倍率は!?
記事の冒頭でもお伝えしたとおり、2016年1月と11月に行われた「MUJI×UR団地リノベーション」第一期・第二期計10戸の募集については5倍を超える応募倍率でした。
リノベーション住戸ということもあり、同団地内のリニューアル住戸と比較しても 多少割高の家賃設定(5000円前後)となっているものの、「無印良品の家」というブランドとプレミアム感が魅力となっています。
さて、今回の3住戸に対して2日間のモデルルーム公開を経ての応募状況は、以下のような結果とりました。
なんと、応募倍率平均10倍超!!
モデルルーム見学に足を運んだ当日、若い世代を中心として多くの来場者で賑わってたものの、今回の募集住戸がエレベータなしの4階および5階ということで、小さなお子さんがいらっしゃる世帯には厳しいのでは?(実際にベビーカーを抱えながら5階まで階段を昇り降りするのが毎日のこととなると大変ですよね・・・)などと、そこまでの倍率になるとは思っていませんでした。
でも、最も人気のあった住戸が5階のお部屋で応募倍率13倍!
その結果に正直驚き、無印良品やURの関係者でもないのに、 なんだかとても嬉しくなったのでした(^^)
多摩ニュータウン永山(UR賃貸) 団地内の現在
総戸数 約3300戸となる 多摩ニュータウン永山(UR賃貸住宅)。
団地内には、保育園・幼稚園・小学校・中学校の教育施設、郵便局、商店街、スーパー、クリニック、公園、広場など 住環境が整備されています。
団地内にある ゆりのき保育園は、テニスコートと公園に隣接しています。
遊具も整備され広々とした公園では、子供が伸び伸びと遊ぶことができます。
最近では ボール遊び禁止という公園が多い中、住宅地でサッカーが楽しめる広場があるとに感心しました。
以前からある公営のテニスコートは 駐車場も整備され、元気にテニスを楽しむシニアの方々の姿が見られました。
永山団地商店街にあるスーパー「グルメシティー」(イオングループ)
営業時間は 朝6:00~25:00! 団地内のスーパーが深夜まで営業しているのは、とても助かりますね。
高層棟に関しては、鉄骨を組んで耐震補強を施す棟と除却(取り壊し)対象となっている棟とに仕分けされていました。除却された棟の跡地がどのように活用されるかも 新たなまちづくりへの鍵となりそうです。
同じ多摩ニュータウンに在住の立場でありながら、初期の昭和40年代に入居が開始された諏訪や永山の居住区で、特にUR賃貸に関しては 老朽化のイメージを多く抱いていたのが正直なところでした。
しかしながら、約3300戸が集まる団地内には、広々とした敷地内に多世代が集い憩える環境が整っています。
そんな恵まれた住環境に、団地の“外側の魅力”を感じることができました。
多世代共生の新しい多摩ニュータウンへ
多摩市では、多摩ニュータウン再生の取り組みについて、市民をはじめとする関係者との情報共有や意見交換が行われています。
平成28年3月に策定された「多摩市ニュータウン再生方針」を 新たなまちづくりの道しるべとしながら、持続可能なまちづくりの実現に向けて動き出しています。
そのなかでも、諏訪・永山地区を「ニュータウン再生をリードするフロントエリア」と位置づけ、2月末をめどに、【 諏訪・永山まちづくり計画】が策定されるとの発表がありました。
平成28年3月に発表された素案では、次のような目標が掲げられています。
駅と医療・子育て・福祉拠点を連携させた コンパクト型エリア再編を契機に、「健幸都市」を創り・発信するニュータウンのモデル地区
新宿・渋谷へは 電車で30分圏内という便利さながら、随所に公園が点在し季節折々の自然を感じられるという 恵まれた環境は、高度成長期に 新時代への夢と希望を掲げて開発された都市計画が土台となっています。
老朽化や高齢化は問題とされながらも、そこには高度経済成長期を支えた人々の暮らしや歴史が積み重なった証しでもあると感じました。
MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトで感じた、古さと新しさの調和と優しさ。
多世代が共栄共生していく 新しい多摩ニュータウンのイメージ写真が多摩市HPのなかで紹介されています。
多摩ニュータウンに住む一人として、開発時に植樹された樹木たちが元気に生き続ける様子も しっかりとイメージしたいと思います。
MUJI×UR(多摩ニュータウン ベルコリーヌ南大沢)
MUJI×URの団地リノベーションプロジェクトは全国のURで展開中です。
多摩ニュータウン内では、築年数が比較的浅く、駅から徒歩7分(別棟はバス便)の「ベルコリーヌ南大沢」が新たに加わりました。
モデルルーム公開と募集は 来月 3月3日(土)と4日(日) となります。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの中でも 最も広い専有面積での物件になるとのことで楽しみですね♪
団地リノベーションプロジェクトの今後の展開と展望について、無印良品HP「団地再生物語」コラムより、一部引用し紹介させていただきたいと思います。
いままでは主に団地の住戸内のリノベーションを行い、その団地のもっている良い部分を生かしたさまざまな提案をすることができました。今後は住戸の外側のリノベーションもありえるかもしれません。住戸の外へ出てみると、階段室、エントランス、庭(コラム「庭のある団地の暮らし」)、集会所(コラム「もしも団地の集会室をキッチンスタジオにできたら」、コラム「もしも団地内にキッチンスタジオがあったら」)といった場所から、表札、ポスト、案内板、掲示板といった小さな部分までいろいろありそうです。団地の暮らしを丁寧に考えることで、団地がさらに魅力的になりそうです。また団地自体が魅力的になれば、団地を起点とした地域のリノベーションまで発展することがあるかもしれません。無印良品の家
なんだか わくわくしますね。
MUJI×UR モデルルーム見学と、この記事を書き進めているうちに、すっかり無印良品のファンになりました。商品でもお世話になります!
そしてベルコリーヌ南大沢のモデルルームについても、また取材に行きたいと思います!
ひとこと・たんまりん
無印良品のビーズクッション、お試し。